こんにちは、白ワインさんです。
お金の話はデリケートな感じがしていたので、これまでは避けていました。
しかし、決して悪いことをしているわけでも、脱税を指南するわけでもありません。
私と同じように「親の介護や相続」に向き合う方にとって、一つのリアルな体験談として役立つかもしれないと思い、書いてみることにしました。
合わない計算、向かった先は税務署
ある日、父と私は相続税について話し合っていました。
しかし、どうしても素人同士。
計算がどうしても合わず、あーでもない、こーでもないと揉めた結果、思い切って税務署へ直接聞きに行くことにしたのです。
対応してくれた職員さんが出した結論は、「相続税の支払いが必要になる」という回答でした。
しかし、私が本当に驚いたのは、相続税の金額そのものよりも、その後に職員さんの口から飛び出した「とんでもない言葉」でした。
職員さんは、私たちが持参した資料を見ながら、手元でパチパチと電卓を叩いていました。
そして、こう切り出したのです。
「あの、これはアドバイスとかではないのですが……。息子さん、お父様の名義の口座や車、不動産などは、お父様が生きている間に、お二人の『生活費』として使い切ってくださいね」
いつもぼーっとしている私は、一瞬意味が分からず、さらに「???」という顔をしていたと思います。
電卓を叩き終えた職員さんは、
ふっと顔を上げ、父と私の目を真っ直ぐ見据えて言葉を続けました。
「いいですか。相続時に私たち税務署職員は、『お父様の名義』に対して行動(相続税の徴収)をします。 相続の瞬間に、お父様の口座に現金がなければ、私たちは何もできません。そしてその時、息子さんの口座にいくらお金があろうとも、私たちは一切関知しません」
彼はもう一度、念を押すように言いました。
「私たちはあくまで、相続時のお父様名義の口座、資産に対して行動しますので」と。
一番大事なのは、あくまで「生活費」
ここで最も重要なキーワードは、言うまでもなく「生活費」です。
もし、ここで、私が「おまぬけさん」のままで、「よし!口座にお金を残さなきゃいいんだな!」と、父の口座から私名義の高級車(レクサスなど)を買いに走ったりすれば、当然それは「不適切な贈与」として税務署から追及されるでしょう。
人それぞれ生活費の基準は違います。
衣食住の費用、毎日の食費、家賃、電話代、水道代、交通費……。挙げればキリがありません。
世のお金持ちには毎日、毎月のように高級品を生活の一部として買っている人もいるため、どこまでが「生活費」かの線引きは非常に難しいところですが、
あくまで「常識の範疇(はんちゅう)」での話です。
ここで、税務署職員さんから教わった「銀行口座にお金を残さないイメージ」を、具体的な数字で整理してみます。
(※実際には各種控除などがありますので、あくまでイメージの単純計算としてご覧ください)
パターン①:自分の収入から親の生活費を出してしまった場合
- 父の年金:月10万円(年間120万円)
- 私の月給:月10万円(年間120万円)
ここで、私が面倒くさがって、父の生活費をすべて自分の収入から支払ってしまったとします。
すると10年後に父が亡くなったとしたら、父の口座には、全く使われなかった年金が1,200万円丸々残ることになります。
この1,200万円はしっかり遺産として加算され、相続税の対象になります。
後から「私が父の生活費をずっと見てきたんだから、その分を遺産額から差し引いてくれ!」と税務署に訴えても無駄です。
職員さんが言った通り、あくまで「お父様の名義の残高」が対象なので、あきらめるしかありません。
パターン②:父の年金を日々の生活費として綺麗に使った場合
逆に、父の年金を優先して、父と私の日々の生活費として支払っていったとします。 10年後に父が亡くなりました。
この時、父の口座にはほぼ現金が残っていない状態です。
その代わり、私の給料には全く手をつけなかったため、私の口座に1,200万円が残りました。
なんだか少し悪いことをしているような気分になるかもしれませんが、相続税の申告時に、子供である私の口座残高を記載する箇所はありません。
隠しているわけではなく、自分の給料を自分の口座に貯めていただけだからです。
請求書に書かれていた「強い言葉」の正体
この税務署での話を思い出すと、同時にハッとさせられる記憶があります。
口座引き落としになっていない、父の介護費用や入院費の請求書のことです。
そこには必ず、強めに「ご本人名義の口座からお振込みください」と書かれていました。
えらく目立つ書き方と強い言葉だな、と思って請求書を見ていたのを思い出します。
あくまで私の想像ですが、金額が大きくなりやすい入院費などを子供が立て替えてしまうと、後々それを含んだ相続問題(名義預金の疑いや、親族間での不透明なお金のやり取りなど)に巻き込まれる可能性があります。
病院側は、そうしたトラブルを避けるためにあえて強く注意喚起してくれていたのかな、と今になって思います。
あの時の電卓の音と、請求書の強い言葉。
すべてが一本の線で繋がった瞬間でした。
帰り道の静かな一言
税務署からの帰り道。 それまで静かに職員さんの話を聞いていた父が、ぽつりと言いました。
「あいつらはな、金を払うていで行くと、知恵をつけてくれるから、覚えとけ」
その言葉を聞いて、妙に納得してしまいました。
敵対するのではなく、ルールを守る姿勢で行くからこそ、プロも法律の枠内で一番良い「知恵」を貸してくれる。
長年社会を生きてきた父の、重みのある教えでした。
父が亡くなった時、その銀行口座には、本当に数千円しか残っていませんでした。
葬儀代は遺産から控除できるため、最終的な計算結果はなんとマイナス。
税務署の職員さんが叩いたあの電卓の通り、私たちは本当にお父さんの資産を綺麗に使い切ったのです。
……まぁ、そんな父とたまに喧嘩になると、 「俺の年金で酒を飲むな!」 と言われたりするのも、今となっては良い思い出です(笑)。
おしまい。
「親の資産管理」や「実家の相続対策」は、介護において避けては通れない、そして多くの人が頭を悩ませる超重要テーマです。
もしご不安な方がいれば、ぜひお近くの税務署や、税理士、会計士などの専門家に直接相談してみてくださいね。
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